【第17回】
レッサーパンダの恋の季節は冬!繁殖期の行動とサインを解説

▲冬はレッサーパンダたちの恋の季節。普段は見られない特別な行動がたくさん見られます。
前回の第10回では、
レッサーパンダが雪を愛し、
冬になると「天然の防寒具」のおかげで、
信じられないほど元気いっぱいになるというお話をしました。
雪の上をピョンピョンと跳ね回り、
エネルギーに満ちあふれる冬。
しかしながら、
彼らが冬にこれほど活発になるのには、
ただ「寒さに強いから」という理由だけではありません。
実は、
一年のうちで最も冷え込みが厳しくなる1月〜3月頃は、
レッサーパンダたちにとって人生最大のイベントである、
**「恋の季節(繁殖期)」**の真っ最中なのです。
普段の彼らは、自分の縄張りを大切にし、
一頭でのんびりと暮らす「単独行動」の動物。
他の個体が近づくと,
怒ってしまうことも珍しくありません。
この嘘のような真実は、
そんなクールな彼らが、
冬になるとパートナーを求めて、
情熱的なサインを出し合い、
お互いを優しく,
受け入れるようになるという点にあります。
今回は、
冬の動物園で目撃できる、
レッサーパンダたちの甘酸っぱい恋のサインと、
特別な行動について、余すところなく、
解説して行きたいと思います。
第1章:なぜ冬なの?恋の季節が「1月〜3月」に訪れる理由
人間にとっては寒さで身が縮こまる冬ですが、
レッサーパンダたちにとっては、
この寒さこそが恋のスイッチを入れる、
重要な合図になっています。
💙:初夏のベストシーズンに出産するため
なぜわざわざ真冬に恋をするのかというと、
それは生まれてくる、
赤ちゃんの生存率を高めるための、
野生の計算された戦略です。
レッサーパンダの妊娠期間は約4ヶ月〜5ヶ月。
冬の間にペアリングが成功すると、
赤ちゃんが生まれるのは気候が暖かく、
主食である竹の新しい、
新芽が青々と豊富に実る「6月〜7月の初夏」になります。
お母さんが栄養をたっぷり蓄え、
赤ちゃんを安全に育てられるベストな、
季節に出産を合わせるために、
彼らの身体は日照時間が短くなる冬になると、
自然とホルモンが活発になり、
恋のモードへと切り替わる仕組みになっているのです。
第2章:恋の始まりを告げる!レッサーパンダたちの「3つのサイン」
恋の季節を迎えたレッサーパンダたちは、
いつもとは違うハッキリとした、
「サイン(行動の変化)」を見せるようになります。
まずは、
同居(ペアリング)が始まる前に見せる、
彼らのアピール行動から見ていきましょう。
サイン①:大急ぎでラブレターを書きまくる!「超活発なマーキング」
第8回で、
お尻の臭腺をこすりつける、
「においマーキング」のお話をしました。
普段は「ここはボクの縄張りだよ」という、
主張のために行われますが、
💛:冬になると、
その意味合いが、
「ラブレター」へと一変します。
特にメスのレッサーパンダは、
発情期を迎えると、
展示場のあらゆる場所に、
激しくお尻をスリスリとこすりつけて回ります。
「私はここにいるよ!準備はバッチリだよ!」という、
強い匂いのメッセージを、
これでもかと残すのです。
オスはその匂いをクンクンと熱心に嗅ぎ(フレーメン現象の様な)、
メスの状態を敏感に察知して、
恋のモチベーションをグングンと高めていきます。
レッサーパンダは、
フレーメン現象に似た、行動があるようです。
フレーメン現象に似た行動とは、
気に成った時は一度こちらを覗いて見て下さい。
一般に言われるフレーメン現象とは少し違うようです。
実は、
唇をめくり上げる代わりに、
口を半開きにして舌をペロペロと動かす、
独特の行動で匂いを分析して、いるようです。

▲メスのラブレター(匂い)を熱心に分析。恋の季節はマーキングの回数が劇的に増えます。
サイン②:切ない声で呼び合う「恋のラブコール」
第7回でご紹介した「ふぃ〜〜」という、
少し鼻に抜けるような独特な高い声の出番です。
普段は天敵に見つからないよう、
完全に沈黙を守っている彼らですが、
💛:この時期だけは別。
オスもメスも、相手の姿を探しながら、
「私はここだよ」「君はどこにいるの?」と、
切ないトーンで鳴き交わします。
静かな冬の展示場にこの声が響き始めたら、
恋の準備が整った合図です。
サイン③:そわそわトコトコ…「落ち着きのない大移動」
発情期を迎えた個体は、
展示場の中をせわしなくトコトコと歩き回り、
明らかに普段とは違う落ち着きのない様子を見せます。
お互いの存在や匂いが気になって仕方がなくなり、
木から降りて地面を何周もダッシュしたり、
バックヤードの扉の前を往復したりします。
この嘘のような真実は、
普段は省エネモードで1日中寝てばかりの彼らが、
寝る間も惜しんで恋のお相手探しに、
エネルギーを注ぎ込んでいるという点にあります。
第3章:動物園の冬のハイライト!オスとメスの「同居(ペアリング)」
2頭の恋のサインがしっかりと、
噛み合っていることを確認すると、
動物園の飼育員さんたちは、
普段は別々の部屋で暮らしている、
オスとメスを同じ展示場に一緒に出す、
「同居(ペアリング)」をスタートさせます。
💛:恋のプロレスごっこ?甘酸っぱいアプローチ
同居が始まると、
オスはメスの後ろを一生懸命にトコトコと追いかけ回します。
時には、
メスの気を引くために、
後ろからそっと近づいて肩に手をかけたり、
第2回で解説したあの「二本足の立ちポーズ」で、
自分をアピールしたりします。
しかしながら、
メスの気分がまだ乗っていないときは、
「まだ早いわよ!」とばかりに、
「ジージー」と激しく怒られて(威嚇されて)しまうことも。
オスは怒られてもめげることなく、
何度も優しくアプローチを繰り返します。
お互いに立ち上がって、
前足で優しくタッチし合ったり、
雪の上を仲良く並んで歩いたりするようになれば、
同居は大成功。
2頭の距離は一気に縮まり、
無事に命のバトンが次の世代、
(第11回の赤ちゃん誕生)へと繋がっていくのです。

▲ときには怒られながらも距離を縮める2頭。冬の動物園で最もドラマチックな瞬間です。
「冬の繁殖期にみられる2頭の細かな相性の変化や、
実際の同居中のドキドキする様子については、
レッサーパンダの聖地と呼ばれる園館ニュース、
でも詳しく発信されています。」
第4章:冬の動物園での観察のコツ:恋の瞬間を見届けるために
冬の日にレッサーパンダたちの、
甘酸っぱいやり取りを観察するための、
おすすめのポイントをまとめました。
コツ①:案内板の「同居中」の文字をチェック
冬場、レッサーパンダ館の前に、
「本日、〇〇と〇〇が同居中です」という、
特別なお知らせが出ていることがあります。
この看板を見つけたら、
2頭の距離感に注目してじっくり観察してみましょう。
コツ②:2頭が「お互いを無視していないか」を見る
本当に相性が良いペアは、
同じ木の上で並んで寝たり、
相手が動くとすぐ後ろをついて歩いたりします。
逆に、
お互いに全く無関心で遠く離れている場合は、
まだタイミングが早いか、
これからの進展を待つ状態です。
コツ③:耳を澄まして「小さな声」を聴く
2頭が近づいた瞬間、
かすかに「キュッ」「ふぃ〜」という甘い声が、
聞こえてくることがあります。
リンゴタイム以外で大人の声が聴けるのは、
この時期だけなので、
展示場の前では静かに耳を澄ませてみてくださいね。
第5章:【まとめ科】:厳しい冬を彩る、命を繋ぐあたたかい物語
今回の内容を振り返ってみましょう。
恋の季節:
一年のうちで最も寒い1月〜3月。
初夏のベストシーズンに出産するための野生の生存戦略。
アピールサイン:
ラブレター代わりの激しいマーキング、
切ないラブコールの鳴き声、そわそわとした大移動。
この嘘のような真実は:
普段は一人暮らしが大好きなクールな彼らが、
冬になると熱烈にパートナーを追いかけ、
優しく寄り添い合うギャップ。
観察のコツ:
動物園の「同居(ペアリング)案内」に注目し、
2頭のトコトコと追いかけ合う、
距離感や小さな声を楽しもう。
真っ白な雪景色の中で、
2頭の鮮やかな赤茶色のレッサーパンダが、
仲良く寄り添い合っている姿は、
寒さを忘れてしまうほど心がじんわりと温まります。
しかしながら、
この微笑ましい恋の季節の裏には、
世界的な絶滅危惧種である彼らの、
血統を途絶えさせないよう、
毎日ハラハラしながら2頭の相性を見守っている、
飼育員さんたちの真剣なサポートが存在しています。
ぜひ冬の動物園を訪れた際は、
一生懸命に愛を伝え合っている、
レッサーパンダたちを心の中で応援しながら、
そのあたたかい命の物語をそっと見届けてあげてくださいね!。
- 【AI生成画像について】
- ※本記事のアイキャッチ画像は,Geminiに搭載されている
- 画像生成機能(Imagen)を使用したAI生成画像
- (Image generated by AI)です。イメージ画像のため、
- 実際の個体や現地の状況とは異なる場合があります。
- 【出典・参考文献】
- 静岡市立日本平動物園(公式ウェブサイト・飼育日誌)



























